特定非営利活動法人 共生社会を推進する会 理事長 今野時雄
輸入食糧政策の危険   (「ゆとりと癒しの村構想」より一部抜粋)

 江戸時代の農学者宮崎安貞の言葉を待つまでもなく「農は国の基」であります。独立国家として食糧の自給は当たり前のこと。ところが、現在穀物の自給率は専門家によると18パーセント(国の発表では23%ですが)、世界で130位、フィジーやモルジブなみという悲惨な状況です。
5大穀物商社に世界の穀物を独占させようという計略が進んでいます。その中に日本の商社は入っていません。国際食糧カルテル(5大商社を含む8社)による世界の食糧資源の生産と流通の独占は、「飢饉」という戦争兵器を生み出し近い将来使われるでしょう。
加えて、いま地球は異常な状態にあります。気象操作の問題です。ロシアもアメリカも既に気象操作の技術を完成させています。エルニーニョ、火山や地震、豪雨や旱魃が多発しています。AP通信は2002年8月14日「現在米国の50パーセントが旱魃状態にある」と報じました。インドでは、摂氏50度以上の強烈な熱波の状態が連続し20万人が文字通り灼かれて死んでいき、エチオピア、スーダンなどのサヘル地区、ソマリア、エリトリアなどで旱魃による飢えによって数十万人が死んでいます。全く不自然な旱魃が長期間続くはずがありません。温暖化で氷河が溶け、南極では東京23区や千葉県に匹敵する巨大氷山が5つも発見されています。北極では、年間3万4千平方キロの海氷が消失しています。中国の砂漠化は毎秒78平方メートルずつ拡大し砂漠は北京近くまで迫っています。すべて農業生産に影響し食糧の需給に直結することばかりです。
金満国家日本には穀物自給率の向上は国家防衛の緊急課題という認識がないのでしょうか。国民は「極楽とんぼ」としか言いようのない反応しか示さない。老子が「学者が国を治めれば国は滅ぶ」と言いましたが、わが国が行っている「減反政策」と「食糧輸入政策」は国家衰退を招く犯罪的行為であると言わねばなりません。
 ちなみに輸入穀物は収穫してから消費者の口に入るまで長期間にわたります。どうやって鮮度を保っているのでしょうか。「ポストハーベスト」という言葉を聞いたことがあると思いますが、これは収穫後に農薬や化学保存料をかけた(ジャブ漬けかシャワー)農産物のことで輸入穀物はすべてこれです。畑で農薬を使って収穫したものの数倍から数百倍の濃度で残留します。ポストハーベストは日本国内では法律で禁止されていますが、輸入農産物にはこれが許されています。矛盾していますね。国民の健康なんてどうでもいいのです。量さえ確保されれば。
日本で承認されていない農薬や毒性の強い化学薬品が使われていることも珍しくありません。農薬の表示義務のないアメリカ、オーストラリアなどでは、国土が広いのでどうしても店頭に並ぶまで期間を要しますので、防虫剤、防カビ剤、ワックスなどを使います。
また、日本で未承認の農薬や化学肥料を使われても規制のしようがありません。たとえば、中国や東南アジアでは日本ではるか昔に禁止されたDDTが大量に使われています。それを供給している化学メーカーが日本の会社なのです。その作物を大量に輸入しています。

 フランスやイタリアEU連合では遺伝子組み換え作物の栽培と輸入を禁止しましたが、わが日本は栽培を禁止できても輸入は禁止できません。なぜなら、例えば大豆の場合、97パーセントをアメリカからの輸入に頼っており、その80パーセントが遺伝子組み換え大豆。そうすると全体の78パーセントが遺伝子組み換え大豆ということになってしまう。豆腐、納豆、醤油などみんな「国産大豆使用」と表示していましたが、「ウソ」がばれ、マスコミで報道されたのは最近のことです。遺伝子組み換えの大豆やとうもろこしを輸入するしかありません。
尚、農水省は、2000年遺伝子組み換え「稲」の輸入と栽培を認可してしまいました。わが国の主食、米(こめ)までアメリカの手に委ねてしまうつもりなのでしょうか。                      
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